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システムトレードの概要
システムトレード入門

システムトレードとは、検証結果から数値化した客観的なルールを機械的に遂行する投資手法をいう。つまり、システムトレードとは、過去のデータなど を用いて検証しその結果に基づいて構築した一定の売買ルールに従って、機械的・継続的に売買を繰り返す投資手法である。また、システム売買、メカニカルト レードなどとも呼ばれます。

【システムトレードの具体例】
客観的なルールを機械的に遂行する投資手法とはどういうことか。

・ 毎週月曜日に買って、金曜日に売却する。
・ 毎月5日に買って、20日に売却する。
・ ゴールデンクロスで買って、デッドクロスで売却する。
※つまり、誰が取引をしても同じ結果になるように論理的に明文化すること。

エントリー(仕掛け条件)やエクジット(手仕舞い条件)などの売買条件の組み合わせである売買モデルによって算出される売買シグナルに従った売買を繰り返し、利益を追求する投資手法がこの「システムトレード」です。

このようにご紹介しただけで非常に小難しく感じてしまうかもしれませんが、市場に投資する前に検証(リサーチ)、すなわち傾向と対策を講じてから大切な資金を運用しようとする投資手法です。イメージとしましては、大学を受験するに際して、過去問題集などで傾向や対策を講じてから試験に望む、あるいは、ある ビジネスを行うに際し、マーケットリサーチを行い、実際にそのビジネスを開始するか否かを判断するなどといったものが、まさに投資の世界ではシステムト レードと言えるでしょう。

システムトレードのフロー

(1)投資のアイディア ・本や雑誌で読んだ方法
これまで取引していた手法
日々の相場を見ていてひらめいた方法 などなど
(2)検証 過去数年間の相場データをもちいて、検証してその結果を分析する。
(3)確認 ・収益性は高いか。
・思ったとおりの結果になったか。 などなど
(4)リアルトレード
もしくは、ペーパートレード
決定した売買ルール(検証結果から数値化した客観的なルール)通りに機械的に取引を実行した。
(5)結果 想定した結果だった場合  ⇒(4)を継続する
・想定した結果でなかった場合⇒(6)へ
(6)再検討 (1)から再構築する必要がある。

実際の売買を行う前に自分自身の手法が通用するのか、つまり勝てるのか、またはどういった手法が勝てるのかを検証することができるのもシステムトレードの特徴のひとつでしょう。

検証の結果、過去において勝っていても・・・と、もしお考えの方、過去において全く勝っていない手法で相場に望み売買を行えますか。予め検証をし、戦術と戦略が立てられるのもシステムトレードの特徴のひとつです。

【プロの世界ではよくもちいたれる方法】
過去のデータを分析して、その結果を今後に活用していくというのは、投資以外にも、プロの世界ではよくもちいられる方法。

スポーツ 野球・サッカー・バレー・ゴルフ・F1などにおける戦略立案、自己分析
ビジネス 在庫管理や生産管理の効率化、売上げの最大化
気象予報 天気・竜巻・津波・地震などの予測

システムトレードが紹介されるとき、人間のバイアスや本能による特有の性質・傾向からシステムトレードが語られることも多いでしょう。すなわち、先天的(生まれつきであるさま)に具わっているものを回避するためにシステムトレードという投資手法が有効である。

これは人間がそもそも統計的に導き出された確率に基づいて判断をせず、自らの心が満足するような答えを合理的な根拠もなく選ぶ傾向のことで、合理 的・客観的な投資判断を妨げる厄介なものです。投資判断の際など緊張やストレスを受ける状態では特に影響を受けやすくなると言われます。

結果として、
利益は含み益の状態になると早く確保したい ⇒ 利益確定を早め ⇒ 利益を小さくしてしまう
損失は出来れば確定したくない ⇒ ロスカット(損切り)を先延ばし ⇒ 損失を大きくしてしまう

このような傾向を回避するためにシステムトレードを導入することが有効であるとも言えるでしょう。

システムトレードの世界にようこそです。
このページでシステムトレードとはどういうものか、皆様の一助となれば幸いです。

マーケットの魔術師 ~日出る国の勝者たち 西村貴郁 システムトレード マーケットの魔術師 ~日出る国の勝者たち 西村貴郁編からの抜粋

機械(システム)が得意なところは機械(システム)に任せる。人間が得意なところは人間がやる。
創造性はシナリオで発揮する.

インタビュアー: 清水昭男(しみず あきお)

システム売買はプログラムが書けなくてもできるんです。

-西村さんのトレードの経歴、現状ここまでどうやってこられたのかをお話ししてもらえますか。
システムトレードをはじめたのはここ数年です。4年くらい。10年くらいは裁量トレーダーでした。

-それからシステムトレードに移行していくわけですね。やはり何か足りないなという思いがあったのでしょうか?
自分が計算をするにあたって、そろばんよりも速くて正確なものがあればそれを頼るべきだと思いましたし、10や20の銘柄を見たいと思ってもなかなか難しいので、じゃあそれをやるにはどうすればいいかと考えたのです。そうしてたどりついたのがシステムトレードです。

-いわゆる個人投資家が使えるトレーディングシステム、プラットフォームというのは、トレードステーション以外にもあるんですか?
はい。海外にはトレードステーションのようなプラットフォームはたくさんあります。トレードステーションはそのなかでもバグが少なく、使い勝手も良く、い ろいろな意味で洗練されているところに優位性があります。国内でもいろいろなプラットフォームが出てきていますが、どれもトレードステーションの言語であ るイージーランゲージをベースとしているので、世界標準であることも優位性のひとつです。

-日本のマーケットは、トレードステーションを使うのに適していると思いますか?
日経225先物など、流動性とかボラティリティが大きいものに関しては有効であると思います。個別株でも通用するか、というのはどこに行っても聞かれる質 問ですが、基本的に流動性の高い大型の銘柄であればまったく問題なく機能するでしょう。ここで、同時にお話させていただくのは、流動性に関するリスクのこ とです。システムトレードでやるやらない以前に、流動性のリスクはあらかじめ認識しておくべきだと思います。

-やっと個人投資家でもトレードステーションのようなツールが使える時代がきたのに対して、機関投資家はシステム化の時代をピークに迎えているという状況ですか?
マーケットに立たされたらプロもアマもありません。過酷な世界だと思います。それなのに個人投資家が勘に頼ったり「ちょっと買ってみようかな」なんて気分 で売買しては、機関投資家やしっかり検証している人たちにはなかなか勝てません。自分だけでできる能力の限界もあります。

-勝つシステムを作れない人も多いと思いますが?
右肩下がりのシステムを作って「勝てない」と思う方は、まったく逆をやればいいんです。ご自身がトレンドフォローのシステムを作ったのに、右肩下がりのシ ステムになってしまったら「ではこの銘柄は逆張りのほうが通用するんだ」と考える。傾向を見つけることがいちばん大切です。

検証のポイントは、トータルで今後、自分がストレスなくトレードできるか。

-チャートを見て、たとえばあれはブレイクアウトだったのかどうなのかとあとで検証することもあるかと思いますが、そこはどうやって判断しますか?
私がシステムを構築するとき、いきなりプログラムを書き始めることはしません。私は相場の日記をつけていて、いったんその傾向をシナリオの流れに落とし込 み、そのあとにプログラムをするんです。それから自分の想定どおりになっているかを確認してから損益をみます。損益に合わせながらシステムを作ることはせ ずに、まずは自分のアイデアと、日々の相場の動きのデータと照らし合わせたときにどうなのかを考えています。

-トレードシステムを検証するうえで、どういうところが検証のポイントになりますか?
検証のポイントはいくつかあります。ひとつは、自分が書いたプログラムをチャート上で見て、自分が売買したいタイミングで視覚的に正しいかどうか。そして トータルで今後自分がストレスなくトレードできるのか。それは人によって勝率だったり、1回あたりの平均損益だったり、あるいはプロフィットファクターか もしれません。それは、投資家のみなさんによって違うと思います。そこをあらかじめチェックしておかなくてはいけません。

-ロバスト(堅牢性)、つまり為替で使えるものは日本株でも使えて、日本円で使えるものがドルでも使えて、という性能を求めるのは、今の相場環境のなかではどうでしょうか?
弊社がビジネスパートナーとしているMESAでは1980年代からシステムトレードをしており、フューチャーズ・トゥルース発行のシステムの格付け雑誌の なかでは常にトップ10に入るシステムを作っています。彼らは、自分たちがシステムを構築するにあたって実にさまざまなマーケットで実験します。それに耐 えられるのであれば、将来も耐えられると考えているのです。

-システムが堅牢であまり市場を選ばず、同時にいくつかの仕掛けを考えることができるとすると、いちばん汎用性があるのは個別株かなという気がしますが?
私は日経やS&Pなど、先物主体でトレードしますが、個人的には個別株よりも使い勝手がいいと思いますし、検証もしやすいと思っています。個別株 の場合は、仮に自分のロジックで銘柄を3000に設定したとしても、金額によって張れる張れないが出てきます。極端な話ですが、自分の条件に合致した 3000銘柄のうち3000銘柄全部が自分の条件に合致したとしても、売買できません。そうすると、いくらを前提にシステムを構築するとか、そういったと ころから考えなくてはならない。日経225などの先物の場合は1枚から、枚数-たとえば200万円を前提としてはじめることができます。

-他の人がどんなシステムを作っているか、彼らのシステムはどういうロジックになっているか、そういうことはあまり問題になりませんか?
私はあまり意識しません。相手がどういう動きをするかを考えていても読むことはできませんから。それよりも、まずは今までの足跡をたどるべきだと思います。

過去の自分の写真を見て「こんな格好しててよかったんだろうか」それに結構似ていると思います。

-西村さんの相場日記がトレーディングアイデアとして構築するものの材料だとすれば、どのようなことを記入されているんですか?
自分が相場をリアルタイムで見ているときと、1ヵ月、2ヵ月、1年後の自分が振り返ったときに、どれだけの考え違いがあるのか。リアルタイムで見ていると きは正しいと思っていますが、相場がひけたあとに見て、本当にその考えが正しかったのか、どう感じたのか、そういったものを書くんです。その繰り返しで す。1年前や10年前の自分の写真を見て「おー、ダサいな」「本当にこんな格好しててよかったんだろうか」という、それに結構似ていると思います。本当に あのときの自分の考えが正しかったのかどうかを客観的にみて「この見方は間違っているかもしれない」と感じる。その繰り返しのなかで「じゃあこれを信じて みよう」「これはいけるんじゃないか」と新しくシナリオを考えていくのです。

ある程度エキサイティングな部分もないとつまらない

-最終的にはどういうシステムを選ぶかというところだと思いますが、西村さんは何を基準に選んでいらっしゃいますか?
私はストレスを感じるのは嫌なんです。かといって勝率をすごく重視しているかというと別にそうでもない。ある程度エキサイティングな部分もないとつまらな いので、「バランス」ですね。勝率はだいたい60%くらいを目安にしています。あとは1回当りの平均損益を結構重視しますね。やはり日経225ベースで言 うと2、30円はないと、スリッページにも耐えられないですし。

-システム構築上のアドバイスがあれば。
私はシステムを作ったあとに必ずテストします。そのシステムを作る過程のなかで、バックテストとフォワードテストを行った後実運用をします。たとえば、自 分が5年間分のデータを持っているとします。であれば、例えば3年間のデータでバックテストをするんです。2年間分のデータをとっておいて3年間分のデー タでバックテストをして、自分がシステムをセットアップした後に5年分のデータを入れるんです。そのときに勝てるかが重要です。残りの2年間のデータを将 来のデータと仮定するわけです。そこで勝てそうだと思えば、リアルタイムのデータで、少額の資金での実運用もしくはペーパートレードでもいいから3ヵ月程 度行ってから、ある程度機能するのであれば実際に使ってもいいかと思います。

システムトレード 【 体験談 】 - 事実を受け入れることの難しさ -

自己裁量(裁量)でのトレードを否定する気持ちは全くありません。しかし、裁量で勝ち続けられる天才的な投資家は何百人に、いや何千人に1人くらいの割合ではないでしょうか。「すべての投資家のうち90%あるいは95%は敗者である」と言われることもあります。
成功している裁量トレーダーの天才的な感性を自分の感性として身につけることは、ほぼ不可能です。たとえその人の本を読んだとしても、本当の意味を理解し、勝てるようになるのは、難しいことではないかと考えます。
私たちは、不安定要素のある感情的かつ主観的なトレードを続けるよりも、検証結果から数値化した客観的なルールを自動的に遂行するシステムトレード(システム売買)を選びました。数値化されたルールは、はっきりとした「説明が可能」です。
説明可能ということは、改善策も明確に講じられることを意味します。特に、負けたときは「なぜ負けたのか?」が明確です。しかもその明確さゆえに、負けトレードも明確に判断できます。対応策を素早く構築でき、必要以上の損失を回避することが可能になるわけです。
ただし、ルールを数値化するのは難しい作業です。ここで「難しい」と言ってはいけないのかもしれませんが、それがシステムトレード(システム売買)を始めたときの正直な感想でした。
今まで感情や主観でトレードをしてきたトレーダーにとって、乗り越えなければならない壁があるように思います。自分の『ルール』を明確に『プログラム化』していくという表現方法に慣れるまで、思いのほか時間が掛かるからです。その意味で「難しい」という表現を使いました。
私が初めてシステムを構築したとき、その基礎になったのは、それまで裁量で勝っていたルールでした。1回のディールで最高1千万単位の勝ちを収めたこともあり、このルールにかなり自信を持っていました。
にもかかわらず、プログラム化した結果、どのように検証しても「自分のルールが1年を通して勝てない」と出たのです。この事実に愕然としました。プログラムを書き間違えたのではないかと思い、何度も確認したことを覚えています。
このプログラムを検証してみると、途中大きく勝っている時期がありました。これまではその勝っている時期に「たまたま」トレードしていただけなのかもしれません。当然、そのルールはシステムでは不採用です。
自分の今までのルール(アイディア、手法)がバックテスト(過去データによる検証)で通用しなかったときは涙しました。しかし、涙を流しただけあって、手にしたものも大きかったと思います。
蛇足ですが、それ以来、投資の本を買って直ぐにやることと言えば、その本に書いてある投資手法をトレードステーションでプログラム化することです。個人的 には日本の投資家の皆様にぜひ体感してほしいです。結果は如何に・・・・。また、上述しましたが、慣れるまで時間が掛かるのを少しでも回避するために行っ たことが、世界最高峰のシステムを利用しながらシステムトレードを体感したことです。

海外のシステムトレード 【 海外のシステムトレードの現状 】

システムトレード 自動売買 トレードステーション
<先物専門誌 『Futures』1月号に掲載された弊社の記事から一部抜粋>

米国でシステムトレードの道筋を築いたJohn Gallwas(ジョン・ガルワーズ)氏の息子さん、Striker Securities, Inc.(ストライカー証券)の取締役のWilliam Gallwas(ウィリアム・ガルワーズ)氏に弊社がインタビューした内容からのご紹介です。

◆ 米国ではシステム売買を行う投資家が多いようです。その理由をお聞かせください。

システムの人気に関する質問にお答えするために、先物取引が「リスク」指向のビジネスであるという事実に戻るのは重要です。投資家は、先物取引にお ける「リスク」を最小にするために、そしてトレーディングの成功の可能性を引き上げるためにも、ある種のシステムを使用しているのです。

この意味で、市場で取引をするための一貫した戦略を表すことができるのが『システム』と言えます。
『システム』での一貫した戦略の範囲とは、一回のトレードでどれくらいの資金を危険にさらすか、どのような状態でエントリーするか、エグジットするか、どこで、いつ「ストップロス」を使用するかを確立できることにあります。

賢いトレーダーは、それらの一貫したルールを確実に適用して、トレーダーが起こしてしまう問題、すなわち、感情的な局面での取引を避けるためにコンピュータ信号の形でそれらの『システム』をコード化しています。

あなたの資金が市場にあり、リスクにさらされたり、膨れあがったりしているとしましょう。この時、あなたは感情的になるのは当然です。『恐怖』と 『欲』は、取引するときに生じる一般的な感情であり、それはトレーダーの判断に「誤り」という原因と成り得ます。例えば、損をしているポジションに置かれ ているという『恐怖』、市場が振り向くことを望むという『欲』。

ほとんどの場合に、市場は『振り向いてくれません』、そして、その期待は逆に損失を膨らましてしまいます。

コンピュータ・システムは、基礎的なルールの戦略を立てること、つまり、一貫して信頼できる市場状況へのアプローチによって、『感情』という誤りのトレードから防ぎ、助けてくれるでしょう。

◆ どのくらいの投資家がシステムを利用しているのでしょうか。

市場で活発なトレーダーの約75%は何らかの形式のプログラムされたコンピュータ取引システムを使用しています。

他の25%は「基本的な」推理(需要と供給の情報)から取引されるか、もしくは、取引所で活発にトレードを行なっているフロアトレーダーで、彼らは取引所での価格変動に基づき自ら意思決定をします。

米国のメジャーな投資顧問会社とヘッジファンドの多くは、コンピュータ取引システムを使用します。

<抜粋終了>
システムトレード 自動売買 トレードステーション

システムトレード 自動売買.bmp システムトレードとは、

検証結果から数値化した客観的なルールを機械的に遂行する投資手法

システムトレード 自動売買.bmp 機械的にトレードを執行するとは、

一貫した『ルール』どおりに売買(仕掛け、手仕舞い、損切りなどの全部又は一部)を行うこと

システムトレード 自動売買.bmp 売買システムで投資を行うことにより、

人間の一時的、突発的な裁量・主観を入れず、安定した取引を継続しようとする試み

システムで投資をすることは、決してハイレベルの投資ではなく、皆さんが持っている投資の『ルール』を客観的に数字等で判断しようとする試みです。 数字ですから思惑や直感に惑わされず、自動的に淡々と、一貫して『ルール』を執行できます。つまり、システム売買は常に明確かつ客観的なトレードを実現さ せるための最も効果的なアプローチなのです。